「HSP 向いてる仕事」で検索して、出てきたリストを見て、少し落ち込みませんでしたか。
たしかに向いていそうだけれど、今からその職業に転職するのは、正直むずかしい。特別な才能があるわけでもない。そう思って、ページを閉じた人もいると思います。
でも、消耗を減らす方法は、職種を変えることだけなのでしょうか。
はじめまして、ワカボンです。福祉の仕事を20年続けている、HSP気質の当事者です。20代の頃は製造業で働いていて、そこから福祉の世界へ移り、通勤も働き方も変えて、ずいぶん楽になりました。
この記事では、仕事を変えずに消耗を減らす5つの工夫と、もし変えるなら何を基準に選べばいいかをお話しします。
先に結論を書きます。働き方のしんどさは、職種よりも環境で決まる部分が大きい。 仕事を変えなくても、働き方は変えられます。そして変えるなら、職種ではなく自分の性質から選べばいい。
「向いてる仕事リスト」を見て落ち込むのは、当然です

「HSPに向いてる仕事」で検索すると、いくつかの職種が並びます。それを見て、少し息が詰まったのなら、その感覚のほうが自然だと思います。
なぜなら、リストに書かれているのはこれから選ぶ人向けの答えだからです。すでに何年か働いていて、生活があって、家族がいる人にとっては、前提がずれています。
こんな板挟み、ありませんか?
- 今から資格を取り直すのは、現実的ではない
- 特別な才能があるわけでもない
- かといって、このまま消耗し続けるのもきつい
その板挟みのまま、ページを閉じることになります。
落ち込むのは、あなたに行動力がないからではありません。答えの側が、今の生活に合っていないだけです。
そもそもHSPは、病気ではありません
HSPは、刺激を受け取りやすい気質を指す言葉です。病名でも診断名でもありません。 背が高い低いと同じように、生まれ持った性質のひとつと考えるのが近いと思います。
私自身、この言葉を知ったのはかなり最近でした。AIと話していて、自分の特徴について聞いてみたら教えてもらった、というのがきっかけです。そこから、本でも学びました。
そのときの感想は、正直に言うと淡々としたものでした。「そういう気質ってやつなのかー」という感じです。衝撃を受けたわけでも、救われたわけでもありません。
念のためお伝えすると、これは自己診断です。医学的な診断ではありませんし、そういうものでもありません。それでも、知ってから変わったことはあります。
気をつけられることが増えました。 そして、仕方ないとあきらめがつくことも増えました。 この二つは、思っていたより大きい変化でした。

向いてる仕事のリストは見たんです。でも、今から看護師にもデザイナーにもなれないですよね。結局どうすればいいんだろうって、そこで止まっちゃって。

そこで止まって大丈夫です。職種を見る前に、もっと先に見たほうがいいものがあるんですよ。同じ仕事でも、消耗する量はぜんぜん違ってきますから。
向き不向きは、職種より「環境」で決まる部分が大きい

同じ職種でも、働く場所が変われば消耗はまるで違います。
たとえば事務職。静かなオフィスで、自分のペースで書類を進められる事務職と、電話が鳴り続けて、常に誰かに話しかけられる事務職。仕事の中身はほとんど同じでも、一日の終わりの疲れ方はまったく別物です。
つまり、職種そのものが向いていないのではなく、環境が合っていないだけということが、かなりの割合であります。
これは裏返すと、希望のある話です。仕事を変えなくても、環境を変えられれば楽になる余地がある、ということですから。
体力的にはきついのに、気持ちは楽だった仕事
私が福祉の仕事に移って、最初にやったのは訪問入浴でした。利用者さんのお宅に浴槽を運び入れて、お風呂に入っていただく仕事です。機材は重いし、動きっぱなしだし、体力的にはかなりハードでした。
それなのに、気持ちは楽だったんです。
理由は三つありました。定時で帰れること。責任の重さがそれほどではなかったこと。そして、嫌な人がいなかったこと。
前職の製造業では、残業が1日5時間ということもありました。休みの日は何もする気が起きず、ただ回復するために寝ている。それと比べると、体は疲れているのに心は軽い、という状態は不思議な感覚でした。
体がきついかどうかと、消耗するかどうかは、別の話なんだと思います。
仕事は同じなのに、人がひとり変わっただけで
ところが、途中から状況が変わりました。苦手な人と関わる機会が増えたんです。言い方がきつくて、機嫌に波があって、こちらの言うことをまず否定から入る。そういう人でした。
そこからは、出勤前から気持ちがどんよりするようになりました。今日は会うだろうか、と考えるだけで重い。そして実際に会話をすると、会ったあとは、ぐったりでした。
仕事の内容は、何ひとつ変わっていません。手順も、担当も、時間も同じです。変わったのは、近くにいる人がひとり増えたことだけでした。
それだけで、消耗の量は別の仕事かと思うほど変わりました。
合わない人が近くにいるだけで消耗する理由は、「【繊細さん】職場の人間関係に疲れたのは性格じゃない。消耗を減らす3つの工夫」の記事でくわしく書いています。

それ、すごくわかります。仕事自体は嫌いじゃないのに、あの人がいる日だけ朝がしんどいんです。私が気にしすぎなのかなって思ってました。

気にしすぎじゃないですよ。私も職場をいくつか変わってきましたけど、振り返って思うのは、職場によってというか、合わない人が近くにいたらつかれるよね、ということでした。
20年働いて、今がいちばん働きやすい理由
福祉の仕事を20年続けて、今の職場がいちばん働きやすいと感じています。理由は、たぶん二つです。上司が話を聞いてくれること。そして、嫌だと感じる同僚が近くにいないこと。
仕事の中身が特別に楽なわけではありません。人と、その距離感が合っている。それだけのことなのですが、それだけで働きやすさは変わります。
だからもし今、消耗しているなら、最初に確認したいのは職種ではありません。今の環境の、何が消耗させているのかのほうです。
消耗が減った5つの工夫と、変えるなら何で選ぶか

ここからが本題です。働き方を変えるといっても、道は大きく二つあります。仕事を変えずに、働き方だけを変えるか。変えるなら、性質から選ぶか。
先に伝えたいのは、ほとんどの人にとって、まず現実的なのは前者だということです。今日から動けますし、失うものがありません。
選択肢1 仕事を変えずに、働き方を変える
私が20年のあいだに続けてきて、実際に消耗が減った工夫を5つ書きます。どれも特別なことではありません。
工夫1 通勤を変える

いちばん効いたのは、これでした。
20代の頃は電車通勤でした。嫌だったことが二つあります。ひとつは満員電車の、あの落ち着かない感じ。もうひとつは、同じ職場の人と乗り合わせてしまったときです。
会えば話さないわけにはいきません。その間ずっと、どこまで話すか、どんな顔でいるか、気を遣い続けることになります。仕事はまだ始まってもいないのに、着いた時点でもう削られている。
満員電車そのものがしんどい方は、「満員電車がしんどい繊細さんへ。通勤の刺激で消耗しないための工夫」の記事でくわしく書いています。
3年目から、車通勤に変えました。これがはっきり違いました。ひとりの空間で、誰にも気を遣わずに職場へ向かえる。何より大きかったのは、職場に着く前に、「さあいくぞ」と自分の中でタイミングや勢いづけができるようになったことです。
心の準備をする時間が、通勤のなかにできた。それだけのことですが、朝の消耗がまるで変わりました。
福祉に移ってからは、バイク通勤にしています。正直に書くと、バイクにした理由はHSP対策ではありません。車だと駐車場代がかかるからです。それだけの理由でした。
ただ、結果的にこれがよく合っていました。自分のペースで行けて、途中の好きなところで止まれる。合うものは、意外とこういう成り行きで見つかるのかもしれません。
工夫2 帰り道に、ひとりの時間をつくる

バイク通勤で、自然とできた習慣があります。
帰り道に川沿いの道があって、そこから橋が見えるんです。夕方に通ると、夕日がきれいで。そこにバイクを止めて、缶コーヒーを飲む。 それだけの時間です。
だいたい10分。しんどい日は、20分になります。
これは習慣でもあり、しんどい日の避難場所でもありました。どちらか一方ではなく、両方だったと思います。
なぜこの10分が効いたのか。あとから考えると、そこが職場と家のあいだの中間地点だったからです。
私には子どもが3人います。家に帰れば、すぐに父親のモードが始まります。玄関を開けた瞬間から、切り替えを求められる。
その前に、どちらでもない自分に戻る時間が10分だけある。職場の疲れを家に持ち込まずに済んだのは、この習慣のおかげだったと思っています。
長い休みも、高い買い物も必要ありません。帰り道に、ひとりになれる場所をひとつ持っておく。 それだけです。
工夫3 休憩は、できるだけひとりで取る
今の職場で意識してやっていることです。
休憩時間に人と話すのが嫌なわけではありません。ただ、休憩というのは本来、回復するための時間です。そこで気を遣っていたら、回復しないまま午後が始まってしまいます。
だから、できるだけひとりで取ります。場所をずらすだけでも違います。
つき合いが悪いと思われないか、と気になる人もいると思います。ですが、午後にきちんと働けるほうが、職場にとっても良いはずです。
工夫4 無理な付き合いを減らす
HSPという言葉を知ってから、はっきり変えたことです。
無理をして飲み会に行くのをやめました。 気を遣いそうな相手とは、必要以上に会わないようにしています。
冷たいようですが、そうではありません。限られた元気を、どこに使うかを決めているだけです。全部に付き合って消耗しきってしまうより、本当に大事な場面で元気が残っているほうがいい。
工夫5 仕事の「量」を調整する
これは職場と相談が必要なこともありますが、効き方がいちばん大きい工夫かもしれません。
私は今、ケアマネジャーを兼務しています。相談業務ですから、一日中人の話を聞く仕事です。HSP気質からすると、いちばん消耗しそうに見えると思います。
ところが、これがそれほどストレスにならないんです。理由ははっきりしています。兼務だから、一日中ケアマネ業務ということがないからです。
同じ仕事でも、8時間続けるのと、3時間で区切るのとでは、まったく別物になります。 中身が向いていないのではなく、量が多すぎるだけだったということは、かなりあります。
担当を減らす、時間帯をずらす、休憩を挟む。量の調整は、仕事を変えずにできることの中では最も効きます。
選択肢2 変えるなら、職種ではなく「性質」で選ぶ
工夫を尽くしても限界がある職場は、たしかにあります。その場合は移ることも選択肢です。ただ、そのときも職種で選ばないでください。
見るべきなのは、次の3つです。
- 静かか、うるさいか。 音や人の出入りの量です。ここが合わないと、仕事内容が好きでも消耗します。
- マルチタスクか、ひとつに集中できるか。 常に中断が入る環境は、丁寧に取り組む人ほど削られます。
- 対人の量はどれくらいか。 対人が苦手かどうかではなく、どれくらいの量なら平気かです。人と関わること自体が問題とは限りません。
そしてもうひとつ、求人票には書かれていない、いちばん大きな要素があります。誰が近くにいるかです。
20年で行き着いた結論。
合わない人がひとり近くにいるだけで、
同じ仕事が、別の仕事になる。
見学ができるなら、設備よりも、そこで働く人の表情や話し方を見てきてください。
「HSPを言い訳にしてるだけかも」と思ったら
ここまで読んで、そう感じた人がいるかもしれません。真面目な人ほど、そう思います。
- Q自分の性質のせいにするのは、言い訳じゃないの?
- A
言い訳ではありません。自分の取扱説明書を持つことです。説明書があると、二つのことができます。気をつけられるようになること。そして、仕方ないとあきらめがつくことです。満員電車が苦手なのは、鍛え方が足りないからではありません。そういう作りなのだと分かれば、乗らない道を探せばいい。あきらめは、後ろ向きな言葉に見えて、実はいちばん体力を節約してくれます。無理をしないことと、逃げることは違います。続けるために調整するというだけの話です。
自分の性質を、いちど棚卸ししてみる

ここまで読んで、「じゃあ自分の場合は何が消耗の原因なんだろう」と考え始めた人もいると思います。その問いに答えるには、自分の性質を一度書き出してみるのがいちばん早いです。
紙でもスマホのメモでも構いません。書くことは二つだけです。
- 何をしているときに消耗するか。 人が多い時間帯なのか、電話なのか、中断が多いことなのか、特定の誰かと話したあとなのか。
- 何なら平気か。 意外とこちらのほうが大事です。苦手なことは思い出しやすいのに、平気なことは自分では気づきにくいものだからです。
一週間ほど、ぐったりした日にだけメモを残してみてください。ばらばらに見えていた出来事に、同じパターンが見えてきます。
ひとりで難しければ、誰かと整理してもいい
ただ、これを自分ひとりでやるのは、けっこう難しいです。理由は単純で、自分にとって当たり前になっていることは、自分では見えないからです。
私も、電車通勤のしんどさを何年も「みんな同じだろう」と思っていました。誰かに話して、はじめて「それ、けっこうきついよ」と言われる種類のことでした。
信頼できる人に、話してみるだけでもいいと思います。家族でも、友人でも、職場の外の人でも。答えを出してもらう必要はありません。話しているうちに、自分で気づくというのが実際のところです。
大事なのは、ひとりで抱え込まないことです。消耗しているときほど、考えは同じところをぐるぐる回ります。そういうときは、誰かに声に出して話すほうが、ずっと早く整理がつきます。

自分の性質って、自分ではいちばんわかりにくいですね。全部これが普通だと思ってやってきたので。

そうなんです。だから、ひとりで抱えなくていいですよ。誰かに話してみると、自分では当たり前だと思ってたところが、実はいちばん消耗してた、なんてこともよくありますから。
まとめ:繊細さは、働き方さえ合えば、ちゃんと武器になる
最後にもう一度だけ書きます。
しんどさの原因は、あなたの性格ではありません。働き方と環境が、まだ合っていないだけです。
そして環境は、職種を変えなくても動かせます。私が20年かけてたどり着いたのは、この5つでした。
- 通勤を変える
- 帰り道に、ひとりの時間をつくる
- 休憩は、できるだけひとりで取る
- 無理な付き合いを減らす
- 仕事の「量」を調整する
どれも、明日から試せることばかりです。
刺激に気づきやすいということは、裏返せば、細かい変化に気づけるということです。相手の様子がわかる。丁寧に仕事ができる。危ないところに先に気づける。福祉の現場で20年やってきて、これに助けられた場面は数えきれません。
同じ性質が、環境しだいで、消耗の原因にも強みにもなります。
だから、自分を変えようとしなくて大丈夫です。合う場所と、合うやり方を探すほうが、ずっと早いです。
今日、帰り道にどこか一か所、ひとりになれる場所を決めてみてください。そこから始めても、十分です。
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繊細さは、直すものじゃない。
合う働き方で、武器になる。💚

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