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会議室のざわざわ。隣の席の電話の声。電車の中で聞こえてくる、誰かの話し声。
一日の終わりに、体はそこまで動いていないのに、頭だけがずっしり重い。音のせいだと気づいたのは、わりと最近のことでした。
音がつらいと言うと、「気にしすぎ」と返ってくることがあります。でも、気にしているのではなくて、勝手に入ってくるのだと思います。
こんにちは、ワカボンです。繊細さん(HSP)の当事者で、福祉の仕事を20年以上しています。夜勤のある交代勤務で、子どもが3人いる家に住んでいます。
この記事では、通勤・職場・家という3つの場面で、私が実際に使い分けているものを書きます。よかったところだけでなく、気になったところも正直に書きます。
先に結論です。ひとつの道具で全部を静かにしようとすると、たいてい失敗します。
HSPの音対策は、通勤と職場と家で分ける

ひとつの道具で全部は静かにならない
3つとも使ってみて分かったのは、どれにも「そこでは使えない場面」があるということです。
イヤホンは通勤では頼りになりますが、職場でつけると呼ばれたことに気づけません。耳栓は呼びかけには気づけますが、大きな騒音には勝てません。ヘッドホンは家では最強ですが、外に持ち出すには大きすぎます。
得意な場所が、それぞれ違います。
消したい音が、場面ごとに違う
通勤で減らしたいのは、電車や車の低い音の圧です。職場で減らしたいのは、キーボードや咀嚼音のような、小さくて途切れない音。家で減らしたいのは、掃除機やテレビのような生活音です。
同じ「うるさい」でも、中身が違います。だから道具も変わります。
私が使い分けている3つ
- 通勤・外出先 → ノイズキャンセリングのイヤホン
- 職場の休憩中 → 呼びかけに気づける耳栓
- 家での作業 → 耳を覆うヘッドホン
3つそろえてほしい、という話ではありません。自分が一番つらい場面を、ひとつ選んでください。
なぜHSPは、小さな音のほうが疲れるのか

音が、情報として入ってくる
音そのものが大きいわけではありません。入ってきた音を、いちいち中身まで受け取ってしまうのだと思います。
隣の人の話し声が聞こえたとき、音として素通りせずに、内容まで頭に入ってきます。機嫌が悪そうな声だと、その理由まで考え始めてしまう。これを一日続けると、夕方には頭が重くなります。
大きな音より、途切れない音がこたえる
工事の音のような大きな音より、時計の秒針や、誰かの貧乏ゆすりのほうが気になります。
音に敏感な人が使う言葉を並べると、こうなります。「音にイライラする」「音がうるさい」「音に疲れる」「音が怖い」「小さな音ほど気になる」。大きさではなく、終わらないことがつらい、というのが共通しているように思います。
「気にしすぎ」と言われると、もっと疲れる
この話は職場ではしにくいです。「うるさいので静かにしてください」とは言えません。だから多くの人が、黙って耐えています。
音がつらいのは、わがままではありません。ただ、周りに理解してもらうのは難しいので、自分で対処するしかない、というのが現実だと思います。
【通勤】HSPは電車と車の音を、消すより遠ざける

満員電車がしんどかったのは、音だけではない
会社員だったころは電車通勤でした。走行音もつらかったのですが、同僚に会ってしまったときに気を使うほうが、もっと消耗しました。
音と人が同時に来る場所は、繊細さんにとってかなり厳しい場所だと思います。
バイク通勤に変えて、減った刺激がある
今はバイクで通勤しています。駐車場代の事情もありますが、ひとりになれる時間ができるのが大きいです。
とはいえ外に出れば音はあります。車のエンジン音、救急車のサイレン、風の音。この場面で使っているのが Anker Soundcore Liberty 4 NC です。

ノイズキャンセリングは「消す」ではなく「遠くする」
ノイキャンをONにした瞬間、周りの音が遠くなって、体の力が抜けるのを感じました。音楽を聴かなくても、ONにするだけで効きます。
無音になるわけではありません。音が消えるというより、遠ざかるという感覚に近いです。完全な静けさを期待すると、がっかりすると思います。
2年使って、まだ壊れていない
1万円台という手の届きやすい価格のわりに効きがよく、コスパの高さを実感しています。2年使い続けても壊れていません。
気になる点もあります。ノイキャンの強さは、もっと高いハイエンド機には劣ります。風の強い日は風切り音が気になることもあります。
イヤホン単体のくわしい話は「HSPにおすすめのイヤホン。耳をふさぐタイプと、挟むタイプの使い分け」の記事に書いています。
【職場】HSPはキーボード音と咀嚼音に、仕事中は勝てない

キーボードを叩く音、タイピングの音、誰かが物を食べる音、電話の呼び出し音、後ろの席の話し声。
どれも「うるさい」と言うほどの音量ではありません。でも、途切れないので疲れます。
モモさん職場でイヤホンをつけていいのか、いつも迷ってしまいます



私は仕事中はつけません。休憩時間だけにしています
私は仕事中にはつけていない
「職場で使えます」と書いてある記事をよく見かけますが、私は仕事中にはつけていません。
福祉の現場なので、呼ばれたら行かないといけません。耳をふさいでいたら仕事になりません。職種によっては問題ない場合もあると思いますが、少なくとも私の職場では無理です。
つけているのは休憩中だけ
休憩室でひとりになれる時間に、耳栓をしています。音が減るだけで、午後の入り方がずいぶん違います。
仕事中と休憩中で線を引く。これが現実的な落としどころだと思っています。「感じが悪いと思われないか」を心配する人は多いと思いますが、休憩時間なら、たいていの職場で許されるはずです。
話しかけられにくくなるのが、むしろ助かる



休憩中くらいは、話しかけられたくない日もあります



私も同じです。つけていると話しかけられにくくて助かります
思っていなかった効果がありました。つけていると、話しかけられにくくなります。
私にとっては、これがむしろ好都合でした。休憩中くらいは、誰とも話さずに黙っていたい日があります。
呼びかけに気づける耳栓を選ぶ
使っているのは Loop Quiet です。使い始めて1か月になります。
耳栓で人の声がどこまで消えるかは、【HSP】耳栓で人の声は消える?1週間使ってわかった「一段下げる」ちょうどよさ でくわしく書いています。
おしゃれなリング状のデザインで、つけていても目立ちにくいのが特徴です。従来の耳栓のような「いかにも」な見た目ではありません。


完全に無音にするのではなく、必要な音は残してくれます。「静かにしたいけれど、呼びかけには気づきたい」という人に、ちょうどいいバランスです。
気になる点は、完全に遮断するわけではないので、騒音が大きい場所では限界があることです。
【家】HSPは掃除機とドライヤーと工事の音を、覆ってしまう


家がいちばん、音の多い場所になる
家は気を抜ける場所のはずなのに、いちばん音が多い場所でもあります。
掃除機、ドライヤー、換気扇、エアコン、ドアの開け閉め、食器がぶつかる音、テレビ。外から工事の音が入ってくる日もあります。我が家は子どもが3人いるので、静かになる時間はほとんどありません。
子どもの声をうるさいと感じてしまう日がある
家族の生活音がつらい、という話は外ではしにくいです。
特に、自分の子どもの声をうるさいと感じてしまったとき。そう思ってしまう自分に落ち込む人は、たぶん少なくありません。
これは、家族が嫌いだという話ではありません。受け取る音の量が多いだけです。道具でその量を減らせるなら、減らしていいと思っています。我慢の総量が減れば、家族に優しくできる時間が増えます。
耳を覆うと、作業の時間が戻ってくる
集中して作業をしたいときは、Edifier のヘッドホンを使っています。1万円以下で買えるもので、長時間つけても耳が痛くなりにくいのが選んだ理由です。


耳をすっぽり覆うので、生活音が届く量がはっきり減ります。イヤホンと違って耳の中を圧迫しないので、作業の間ずっとつけていても平気です。
夏は耳のまわりが暑くなる
気になる点も書いておきます。外に持ち出すには大きいです。そして夏場は耳のまわりが暑くなります。
家の中で使うと割り切るなら、この2つは問題になりません。
ヘッドホンそのもののレビューは「繊細さんの在宅ワークに。1万円以下で耳が痛くならないヘッドホン正直レビュー」の記事に書いています。
HSPの音対策グッズは、3つのどれを買えばいいのか




| Anker のイヤホン | Loop Quiet の耳栓 | Edifier のヘッドホン | |
|---|---|---|---|
| 使う場面 | 通勤・外出先 | 職場の休憩中 | 家・在宅の作業 |
| 音の減らし方 | 打ち消す | 一段下げる | 覆ってふさぐ |
| 呼びかけ | 気づきにくい | 気づける | 気づきにくい |
| つけている時間 | 移動のあいだ | 休憩のあいだ | 数時間 |
| 気になる点 | 風の日は風切り音 | 大きな騒音には限界 | 大きい・夏は暑い |
外の音の圧を減らすなら、イヤホン
電車や車のような、低くて広がる音に強いです。移動のあいだだけ使う人に向いています。
呼ばれたら気づきたいなら、耳栓
職場や、家族がいる家で使うならこれです。全部消えてしまうと、かえって不安になります。
長時間こもるなら、ヘッドホン
数時間つけっぱなしにするなら、耳の中を圧迫しないほうが楽です。持ち歩かないと決めれば、大きさは欠点になりません。
3つそろえる必要はない
私は場面が3つあるので3つ使っていますが、ほとんどの人はひとつで足ります。
自分が一番つらい場面を、ひとつだけ選んでください。
買わなくてできる音対策が、先にある





道具を買う前にできることって、何かあるんでしょうか



私は帰り道に十分だけ、音のない場所に寄って休んでいます
帰り道に、音のない十分を作る
いちばん助かっているのは、これです。
バイクで帰る途中、川沿いの橋のところで止まって、缶コーヒーを10分ほど飲みます。職場と家のあいだに、音のない場所をひとつ作っておく。これだけで、家に着いたときの機嫌が変わります。
音の出るものを、ひとつ止める
つけっぱなしのテレビ、回りっぱなしの換気扇。止められる音が、意外と家の中にあります。
全部を静かにする必要はなくて、ひとつ減らすだけでも違います。
人と話す予定を、後ろにずらす
音がつらい日は、判断力も落ちています。その日に人と込み入った話をしないと決めておくだけで、消耗がかなり減ります。
道具は最後でいいと思います。場所と時間をずらすだけで済むなら、そのほうが早いです。
よくある質問


- HSPの人はイヤホンで落ち着く?
-
HSPの人がイヤホンで落ち着くのは、音の量を自分で決められるからです。音がつらい理由のひとつは、選べないことにあります。
入ってくる音を自分で減らせる状態になると、それだけで負担が軽くなります。
- HSPの人はイヤホンが苦手ですか?
-
HSPの人がイヤホンを苦手に感じることは、実際にあります。耳の中に入れる圧迫感が気になる、長時間つけると耳が痛くなる、という声はよく聞きます。
その場合は、耳の中に入れない耳栓や、耳を覆うヘッドホンのほうが合うことがあります。
- HSPのノイズキャンセリングは?
-
HSPの人にとってノイズキャンセリングは、音を消す機能というより、音の圧を下げる機能です。完全な無音にはなりません。
私の実感でも、音が消えるというより「遠くなる」という感覚に近いです。
- HSPにおすすめの耳栓は?
-
HSPの人におすすめの耳栓は、完全には遮断しないタイプです。全部消えてしまうと、呼びかけや放送に気づけず、かえって不安になります。
職場で使うなら、目立ちにくい形かどうかも見ておくと安心です。
まとめ。HSPの音対策は、逃げることではない


音がつらいのは、気にしすぎではありません。入ってくる量が多いだけです。
- 通勤・外出先 → ノイズキャンセリングのイヤホン
- 職場の休憩中 → 呼びかけに気づける耳栓
- 家での作業 → 耳を覆うヘッドホン
そして、道具を買う前にできることもあります。音のない10分を、どこかに作る。私はそれを、帰り道の橋の上でやっています。
全部そろえる必要はありません。自分が一番つらい場面を、ひとつだけ選んでください。
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深呼吸して、私は今日もここにいる。
音を減らすのは、逃げることではありません。💚









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